statement
その日の天気、訪れた時間、気分で、
見え方も感じ方も変わる。
日常に溶け込んだアートが面白いのは、
同じ作品でも、
見るたびに新しい発見があること。
グランフロント大阪「ART SCRAMBLE」。
いつもと変わらない日常が、
いつも新しい日常になる。
アートとあなたは、ここで出会いつながる。
about ART SCRAMBLE
多様な人々や感動との出会いが、
新しいアイデアやイノベーションを育むまち。
グランフロント大阪から、
次のカルチャーを世界へ。
「ART SCRAMBLE」プロジェクト、
始まります。
新進気鋭のアーティストたちを起用し、
展示をサポート。
訪れる人の日常に、
驚きと発見をお届けしていきます。
アートと人は、ここで出会い、
交わり、つながる。
outline
展示日程:
2025年3月18日(火)~2026年3月初旬(オブジェ)
2025年10月10日(金)〜2026年3月迄予定(ミューラルアート)
展示場所:
南館 せせらぎテラス、
北館 せせらぎのみち沿い壁面
展示アーティスト:
笹岡由梨子(オブジェ)
shogo ogoshi(ogoogo)(ミューラルアート)
YANG YANG(ミューラルアート)
主催:
一般社団法人グランフロント大阪TMO
プロジェクト・ディレクター:
椿 昇
キュレーター:
ヤノベケンジ(オブジェ)、
Mon Koutaro Ooyama
(ミューラルアート)
exhibition
大阪府出身。映像の中にある絵画との接点を探るべく、絵画における手の痕跡や筆致と近似した、高性能な CG 映像にはない異物感や違和感を引き出し、独自のストーリーを紡ぐ。そして、緻密な構成や物語とともに、どこか懐かしい、けれど誰も見たことのない独特の世界観をリアルに感じさせる。
また、2017年に参加した北マケドニア共和国でのアーティスト・イン・レジデンスで人の温かさ、心の豊かさにカルチャーショックを覚え、以降はアジアに最も近いヨーロッパ世界のリアルな人々、暮らし、歴史に関心を深め、中央・東欧諸国のリサーチや発表を重ねている。 現在、関西/香港を拠点に活動。
https://www.phdgroup.art/artists/sasaoka-yuriko
時間は決して止まることがない。それは川のように都市の風景を変え、記憶を上書きし、新たなリズムを刻み続ける。笹岡由梨子の最新作 《MUSE》 では、彼女自身が時計の針となり、文字通り時間のメカニズムに組み込まれ、大阪の脈動する空間の中に自らの身体を刻み込む。この都市は過去の移民、労働、そして野心によって形作られ、同時に未来の舞台でもある。数十年ごとに新たな万博の姿へと変貌する場所、それが大阪だ。
笹岡は、1970年の大阪万博が象徴した未来への希望を振り返りつつ、それが今ではユートピア的な未来像のノスタルジックな記憶へと変わったことを示す。同時に、彼女は2025年6月に中央公会堂で開催される万博プロジェクトに向けて、ポーランドに何度も滞在する中で触れたマリー・キュリーの存在にインスパイアされた新たな作品を準備している。どちらのプロジェクトにも共通するテーマは「移動」であり、それは単なる物理的な移動にとどまらず、記憶や思想、未来へのビジョンの流動性をも示唆している。
大阪、ワルシャワ、香港、それらは笹岡の芸術的旅の拠点ではあるが、彼女にとって重要なのは場所そのものではなく、その場所が残す記憶の痕跡である。《MUSE》は、時間だけでなく、都市空間と個人の記憶がどのように絡み合い、私たちのアイデンティティを形成するのかを探る試みでもある。彼女自身の身体を時計のリズムに重ね、モザイクで表現された母の顔を配置し、数十年前の大阪のノスタルジーと現在の都市のアイデンティティを交錯させることで、笹岡は過去と未来をつなぐ架け橋を作り出す。
この作品は「変化」と「持続」の両方を描き出す。場所そのものよりも、そこに刻まれた記憶こそが強く残り続けること、そして旅とは単なる移動ではなく、自身と世界を深く理解するための手段であることを、観る者に問いかける作品である。
歌: 池田真己
録音: 西村千津子
構造計算: 株式会社タンデム
設計・施工: たま製作所 | 小西由悟・岩山夏己 ・木綿要介
マネジメント: 古谷晃一郎
制作協力:
栗原悠次、小井帆乃実、小島麗美、原こころ、諸岡あゆみ、LIU JING、京都芸術大学 ULTRA PROJECT | 荒井美桜、諌山遥香、岡田友梨、須賀鈴之助、利倉杏奈、新海有紗、丸山和夏、京都芸術大学 ULTRA FACTORY | 浦田沙緒音・大島拓郎・大脇理智・佐々井菜摘・佐々木大空・徳山詳太郎・福田直樹
協力: 京都櫢脂株式会社、株式会社セイビ堂、竹林鋼機株式会社、Twelve Inc.
神戸芸術工科大学 ビジュアルデザイン学科 卒業 シンプルなドローイングからカラフルな表現まで幅広く挑戦し、旅で出会った文化や風景を作品に取り入れながら、ポップな軽快さとともに情景を感じさせるような奥行きのある表現を追求しています。
https://www.instagram.com/ogoogo/
街はたくさんの人が、
集まったり、通り過ぎたり、佇んだり、彷徨ったり、
知ってる人や知らない人、一生関わることのない人まで、
同じ空気を吸って吐いて、混ざりあいます。
イラストレーター。福岡生まれ、山口県育ち。社会人経験を経て京都の芸術大学を卒業。幼少期からの落書きをルーツに、物語を紡ぐように多彩なモチーフをちりばめたカラフルな作品が特徴。イベントアートワークやライブドローイング、壁画、アーティストMVのアニメーション制作など幅広く活動し、各地で個展やグループ展も開催中。
https://www.instagram.com/yangyang.maru/
歩き方は人それぞれ。
走ってもいいし踊ってもいいし
止まっててもいい。
好きに進んでいこう。
project director
ノーベル賞を受賞したお二人の記者会見を視聴して感じるのは、過去の受賞者の方々も含めて異口同音に語られる長期的ビジョンや支援の重要性。 しかし、それを伝えるメディアや企業も含めて私たちの社会が真逆の呪縛に縛られざるを得ないという問題は棚上げされたままだ。 誰が決めたのかわからない四半期の業績縛り。物価高で毎日のように数十円動く卵の値段を報じ続けるテレビの報道。 刹那的な刺激や利益に汲々とする社会の異様な非対称性に、ノーベル賞の発表がある度に愕然とする。 続くこと・続けることを前提に、環境負荷を低減したプログラムを組むスマートさに、 全ての組織や領域が全力を傾けなければ我々の未来は確実に萎縮する。 そのような状況に、決して潤沢とは言い難い予算を大切にアーティストたちに配分してきた「アートスクランブル」は、 アートというカテゴリーを超えた貴重な一石を投じていると確信できる。 10回の節目を迎え、より幅広く豊かなアートの可能性に挑戦し続ける姿は、大阪を世界的な文化拠点に育てる核となるに違いない。
コンテンポラリー・アーティスト、京都芸術大学教授。1989年全米を巡回したアゲインスト・ネーチャー展、1993年のベネチア・ビエンナーレに出品。2001年の横浜トリエンナーレでは、巨大なバッタのバルーン「インセクト・ワールド-飛蝗(バッタ)」を発表。2003年水戸芸術館。2009年京都国立近代美術館。2012年霧島アートの森(鹿児島)で個展。
2019年「パレルゴン」1980年代、90年代の日本の美術・Blum&Poe、LA・USA。2013年瀬戸内芸術祭「醤+坂手プロジェクト」、2016年小豆島未来プロジェクト、青森トリエンナーレ2017、ARTISTS’ FAIR KYOTOなどでディレクターを務める。芸術経営に関する講演や対談多数。
https://www.metapolice.net/
curator
「どこから見ても笹岡由梨子。」こんなキャッチコピーが頭に浮かぶ程、彼女は唯一無二の個性を放つアーティストである。 クセの強い彫刻造形、視覚と聴覚に焼きつく映像と音響。その圧倒的な存在感は、大阪の喧騒すら凌駕し、観る者に「アートとは何か」という問いすら忘れさせる。 異様なまでのエネルギーに満ちたその表現は、作家としての長いキャリアを持つ私のプライドさえ揺るがすほど強靭だ。大阪・関西万博のスケールを遥かに超える熱量をもって、観る者を魅了し、圧倒するだろう。 その才能の爆発を、ぜひ目撃してほしい。
1990年初頭より、「現代社会におけるサヴァイヴァル」をテーマに実機能のある機械彫刻を制作。ユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群は国内外から評価が高い。2005年、全長7.2mの《ジャイアント・トらやん》を制作。2008年以降、京都芸術大学ウルトラファクトリーで巨大彫刻の集団制作体制を確立。2011年、東日本大震災後、希望のモニュメント《サン・チャイルド》を制作し、国内外で巡回。3体のうち1体が茨木市(大阪)で恒久設置される。2017年、旅をして福を運ぶ、旅の守り神《SHIP’S CAT》シリーズを制作開始。2021年、最新作《SHIP’S CAT(Muse)》が2022年に開館した大阪中之島美術館に恒久設置され、注目を浴びている。
https://www.yanobe.com/
変遷の時代に、時折いろいろな想いを馳せる中秋の散歩すがら、元気に働くお洒落な店や、立派な建築物や、大きな壁画が目に止まって、なんかええ感じ〜て思える事って、ほんまに有難いなぁ。何気ない普通の日常に、みんなの遊びや楽しみが溢れてる世界。こんなんがずぅっと続いていきますように。今回参加してもらったアーティスト達、ogoogoとyangyangは、柔らかくて元気な絵を、なにより本人達が楽しみながら描いてくれました。楽しんでる事が伝播していって、周りの緊張をほぐして面白くしてくれるような、、アートってそんな力もあんのん?そらあるんちゃいますか。一回グランフロントのやつ見に行ってみて!
モン コウタロウ オオヤマ(本名:大山康太郎/1979年生)は、日本のストリートアーティスト。京都市立芸術大学美術学部卒。2001年、ライブペイントデュオ「DOPPEL」を結成し、ライブペイントシーンの黎明期からそのスタイルを確立してきた。2014年、取り壊し予定のビルを利用した アートプロジェクト「#BCTION」を企画・監修する。壁画・ライブペイント・ インスタレーション・キャンバス制作や、アートプロジェクトの企画・監修・演出などで活動している。
https://www.instagram.com/mondotooo/
interview
──アート作品の制作を始めたきっかけ
幼い頃、両親が美術館によく連れて行ってくれて、絵を描くのも好きでした。高校の頃、上履きにペイントするのが流行り、よく友達に描いてほしいと言われて、嬉しくなって友達の顔を描いたりしていました。ただ、描く絵が鋭くて、友達の顔を誇張して描いたら、友達が泣いてしまうという事件がありました。笑
その絵を見た英語の先生に美大を勧められ、そこから目指し始めました。
──大学時代
最初は画家になりたいと思い、油画を専攻しました。ただ、私の鑑賞体験が特殊で、名画を見た時に、絵画が動いて音が流れるという体験をしていて、皆が経験していると思いきやそうではなくて。絵画を描くよりも、経験した鑑賞体験を直接表現する方法が無いかと考え、それがビデオでした。
──グランフロント大阪や展示場所について
普段は屋内の美術館やギャラリーなど、守られたフラットな空間での展示が多いのですが、屋外は周辺の音など情報が多い。また、態々足を運んで観に行くのではなく、目に入ってしまうものをつくるということを意識しました。不特定多数の人が行き交う大阪の中心に設置されるので、ただ自分の作品をみせるだけでなく、作品にしっかりと役割を持たせたいなと思いました。 昔は、時計の下を待ち合わせ場所にすることが多くて、その懐かしい原風景を取り戻したいと思い、時計をモチーフにすることで、作品に時計や待ち合わせ場所としての役割を持たせました。
──作品のテーマや制作方法
一貫して、身近な人の生死がテーマになっています。身近な人が亡くなった時に、大事な気持ちや消えてしまう僅かな記憶を記念碑的に残したいと思い、作品をつくります。 作品をつくり始めた頃から一貫して、自分の身体のパーツを撮影して使用していました。初期の作品は、のっぺらぼうの操り人形に、自分の顔や体のパーツを合成し、小さい人形が生きているような人形劇。それがだんだんインスタレーションになっていきました。音楽は私が作詞作曲していて、作品の制作中にドローイングをたくさん描くのですが、ドローイングが楽譜のように、だんだんメロディーになって、曲が出来上がっていきます。
──今回の作品について
今回の作品は、昔家族でよく遊びに行った京橋駅にかつてあったからくり時計がモチーフで、当時の京橋を自分の記憶から掘り起こして、あの時の経験と今感じていることを合わせた作品をつくりたいと思いました。
タイトルの”MUSE”は、インスピレーションを与えるギリシャ神話の女神様です。今回は、母が1つのモチーフで、作品には母の顔をモザイクタイルで制作しています。亡くなった父と会えなくなってしまった母が、父と住んだ大阪についての歌をうたっていて、その子供である私が時計の針となって、時を刻んでいます。
だから、家族・仲間・コミュニティも今回の作品の1つのテーマになっています。
また大阪・関西万博時期の展示になるので、制作にあたり、私にとっての万博=1970年大阪万博を学生たちとリサーチしました。人間洗濯機など、小学生の発想を大人がやっていたイメージがあり、それにインスパイアされ、職業が時計で、人間が時計の針として働いていたら面白いなと考えました。
1970年当時に想像していた未来と実際は違う形になっている、そこに対して、疑問を投げかけています。また、1970年大阪万博に関わった方々のお陰で、今の私たちや街があることを忘れたくなくて、時計の針の仕事を私が請け負い、役割りを果たした素材(タイル)をパーツとして使ったのはそういう想いからです。
──ウルトラプロジェクトとして学生とともに制作されて
学生たちが参加したという痕跡がしっかり残るような作品をつくりたいなと思いました。タイルを割って塗って貼るなど、全部がひとりではできない作業で、映像も学生たちとみんなでつくりました。 映像は1時間ワンカットで撮影し、私が針で、学生たちが1分毎に針を動かしているのですが、次はこの位置に動かそうと相談して、だんだん上手くなっていく過程も面白いなと思います。私がだんだん辛くなっていく表情も面白いので、そこでもリアリティを出したいなと思いました。
──今後の活動について
今回の作品を含め、今年は大阪で3つの展示を予定しています。6月にはマリ・スクウォドフスカ・キュリーの生涯をテーマにした作品を中央公会堂で展示する予定で、11月には国立国際美術館でのグループ展にも参加します。今年は、故郷の大阪でたくさん作品を見られるのが嬉しいです。